ローレンツ変換により変換されるのは、主観的な時間と空間です。

ローレンツ変換は、
t’= (t−(Vx/C^2)) / √(1−(V^2/C^2))
x’=(x−Vt)/√(1−(V^2/C^2))
y’= y
z’= z
です。この式により、高速移動する慣性系の時間と空間が変換され、光の速度は一定と観測されます。
ローレンツ変換は、以下の様にして導くことが出来ます。

高速移動に伴う物質の質量増加、及び物質を動かす4つの力の到達時間の変化を表わした変換式は、以前説明したCATBIRD変換
t’=t*(√(C^2−2CV*cosθ+V^2)/C )/(√(1−V^2/C^2))
(x=Ct*cosθであるので、t’=t*(√(C^2−(2Vx)/t +V^2)/C )/(√(1−V^2/C^2)としても良い)
x’= (x−(V/C))/√(1−(V^2/C^2))
y’= y/√(1−(V^2/C^2))
z’= z/√(1−(V^2/C^2))
です。この式に、
①x’= x
②y’= y*√(1−(V^2/C^2))
③z’= z*√(1−(V^2/C^2))
を統合すると、ローレンツ変換となります。①から③は、高速移動による物質の収縮率を表わしています。

しかし、客観的時間及び空間が変化することはありません。物質の反応速度が、上記の理由により変化する為、主観的に時間の経過が変化した様に思えるだけです。
主観的時間と客観的時間の意味は、次の様に考えれば分り易いと思います。
自分が、ぜんまいで動くロボットだと想像して下さい。ぜんまいが緩み、自分の動きがゆっくりとなりました。外の世界を見ると、今までの倍の速さでものが動いています。宇宙に流れている時間は、倍の速さとなった様に思えます。しかし、他の人から見ると、私の動きが遅くなっているだけです。実際には、外界の時間経過は変わっていないのに、ぜんまいが緩み自分の動く速度が変わった為、外界の時間経過が変わった様に見えます。この現象を、主観的時間の変化と表現しました。
客観的時間は、宇宙に流れている時間の経過であり、1つしかありません。これが変化したとしても、物理現象に影響することはありません。全てが速くなったり遅くなったりしても、DVDを早送りしたり、スローで見たりする様なもので、結果は同じです。従って、考える必要のないことです。

ローレンツ変換により、移動する観測者の主観的時間及び空間が変換され、光の速度は常にCと観測されます。光速度が不変と観測される主な原因は、物質を動かす4つの力の到達時間の変化にあります。速度Cで移動する光を、同一方向へ速度Vで移動しながら観測すると、その相対速度は(C−V)です。しかし、観測者の主観的時間の経過が(C−V)/C倍と遅くなるので、光の速度は(C−V) /((C−V)/C)=Cと観測されるのです。

光と並走するロケットに乗り、ゆっくりと伝わる光を走って追い抜こうとしても出来ません。私を構成する粒子を動かす力が、抜こうとしている光と同じ速さでゆっくりと伝わるからです。また、私を構成している粒子の動く速さの限界が、抜こうとしている光の速さだからです。私を構成する粒子は非常にゆっくりと動く為、私はゆっくりと行動し思考する様になります。私の持っている時計も、ゆっくりと時を刻みます。その為に、私にはゆっくりと進む光でも、光速Cで非常に速く進んでいる様に見えます。そう言う理由で、今まで光速以外の速度で進む光は、観測されていません。これが、「光速度不変の仕組み」です。